寝具売り場で、値札がほとんど変わらない2枚のマットレスを手のひらで押し比べると、一方はじわっと沈み、もう一方はすぐに押し返してきます。
外から見ればどちらも布に包まれた直方体なのに手ざわりがここまで違うのは、布の内側に入っている芯の素材が違うからです。

マットレスの寝心地は、芯の素材・硬さ・厚みの3つの組み合わせで決まります。
よく比べられる「高反発か低反発か」は、主にウレタン素材の中での違いで、コイルやラテックスは、また別の見方で比べます。
素材の名前を覚えるより先に、それぞれの素材が体をどう支えるかをつかんでおくと、商品ページの説明がぐっと読みやすくなります。
硬さの感じ方には個人差が大きく、同じマットレスでも「ちょうどいい」と「硬すぎる」に分かれることは珍しくありません。
腰や肩の痛みが続くとき、しびれがあるときは、マットレスを選び直す前に医療機関で相談してください。
マットレスの中身は、大きく4つに分かれる
店頭や通販で見かけるマットレスは、中身で分けるとほぼ次の4つに収まります。
1つ目は金属のバネを並べたコイル系、2つ目は発泡させた樹脂でできたウレタン系です。
3つ目は樹脂の繊維を絡めたファイバー系、4つ目はゴムを発泡させたラテックス系になります。
実際の商品は、コイルの上にウレタンを重ねるなど、複数の素材を層にしたものが多くあります。
その場合も、寝心地のおおもとを決めているのは、いちばん厚い芯の部分です。
| 芯の素材 | 支え方 | 寝心地の傾向 |
|---|---|---|
| ボンネルコイル | 面で支える | 硬めで張りがある |
| ポケットコイル | 点で支える | 体の凹凸に沿う |
| 低反発ウレタン | ゆっくり沈む | 包まれる感じ |
| 高反発ウレタン | 押し返す | 寝返りが軽い |
| ファイバー | 網で支える | 硬めでさらっと |
| ラテックス | 弾んで支える | 柔らかく弾む |

同じ「ポケットコイル」でも、上に重ねる層の厚さで寝心地は大きく変わります。
商品ページでは、芯の種類と、その上の層の素材・厚さをセットで見ると、比べやすくなります。
コイル系:ボンネルとポケットの違い
ボンネルコイルは、つながったバネで面を支える
ボンネルコイルは、らせん状のバネを針金でつなぎ合わせ、全体を1枚の面として使う作りです。
体の一部が沈むと、まわりのバネも一緒に引っぱられるので、硬めで張りのある寝心地になりやすい傾向があります。
床に寝ているような感触を好む人や、体が沈み込むのが苦手な人には、この張りが合うことがあります。
一方で、隣で寝ている人が寝返りを打つと、その揺れがつながったバネを伝って届きやすくなります。
ポケットコイルは、1個ずつのバネで点を支える
ポケットコイルは、バネを1個ずつ布の袋に入れ、袋どうしを並べてつないだ作りです。
バネが独立して動くので、肩や腰など重いところはよく沈み、軽いところはあまり沈みません。

そのぶん体の凹凸に沿いやすく、隣の人の寝返りの揺れも伝わりにくくなります。
2人で1枚のマットレスに寝る場合は、この揺れの伝わりにくさが選ぶ理由になりやすいところです。
シングルサイズでも、中には数百個のバネが入っています。
数が多いほど細かく体に沿う傾向はありますが、バネの太さや並べ方でも硬さは変わるので、数だけで優劣は決まりません。
並べ方には、バネを縦横まっすぐに並べる「並行配列」と、半分ずつずらして詰める「交互配列」があり、交互配列のほうがすき間が少なく、面としてしっかりした感触になりやすいとされます。
肩のあたりだけ柔らかく、腰のあたりだけ硬くするなど、場所ごとにバネの硬さを変えた「ゾーニング」の製品もあります。
NELLマットレス(ポケットコイル)
ポケットコイルのマットレスで、腰のあたりをやや硬めにした「センターハード構造」と案内されています。サイズはシングルからキングまでです。商品到着から120日間の返品・返金の制度があり、最低使用日数などの条件が決まっています。
※価格・返品の条件は公式サイトでご確認ください。
コイル系に共通する、買う前の注意
コイル系は厚みがあって重く、2階以上へ運ぶときに階段や廊下を曲がれないことがあります。
ロール状に圧縮して届く製品と、平たいまま届く製品があるので、届き方と大きさを先に見ておくと安心です。
バネが入っている以上、基本はベッドフレームの上で使う前提の製品が多く、床や畳にそのまま置いてよいかは製品ごとの表示で見ます。
ウレタン系:低反発と高反発の違い
低反発ウレタンは、ゆっくり沈んで、ゆっくり戻る
低反発ウレタンは、押すとゆっくり沈み、手を離してもすぐには元に戻らない素材です。
体の形に合わせてくぼむので、包み込まれるような寝心地になります。

その反面、沈んだ形が残りやすいので、寝返りのたびに少し力が要ると感じる人もいます。
温度で硬さが変わりやすい素材でもあり、冬の冷えた寝室では、横になった直後に硬く感じることがあります。
高反発ウレタンは、押し返して支える
高反発ウレタンは、押すとすぐに押し返してくる素材です。
体が沈み込みすぎず、寝返りを打つときの抵抗が小さいのが特徴です。
ただ、硬めのものを選ぶと、横向きで寝たときに肩が当たって窮屈に感じることがあります。
寝返りが多い人、朝に体が固まった感じがしやすい人は、まず高反発から候補に入れると比べやすくなります。
SOMRESTA(ソムレスタ)の高反発ウレタンマットレス
独自の高密度ウレタン(高弾性・高反発)を使ったマットレスのブランドです。ベッドの上でも、床に直接敷いても使えると案内されています。キルティングのカバーをファスナーで外して洗えるモデルもあります。
※硬さ(N)・密度(D)・価格はモデルごとに公式サイトでご確認ください。
ウレタンの表示は「N」と「D」を見る
たとえば同じシリーズに「110N」と「170N」があれば、170Nのほうが硬い寝心地です。
ただし、メーカーが違うと測り方の条件がそろっていないこともあるので、N値は同じメーカーの中で比べるのが確実です。
ファイバーとラテックス
ファイバーは、通気のよさが持ち味
ファイバー系は、ポリエチレンなどの樹脂を細い繊維にして、網のように絡めて固めたものです。
すき間が多いので空気が通りやすく、硬めでさらっとした寝心地になります。
汗をかきやすい人や、湿気がこもりやすい部屋で使う人には、この通気のよさが選ぶ理由になります。
反対に、体重が軽い人には硬く感じやすく、上にトッパーや敷きパッドを重ねて使う前提で考えると選びやすくなります。
熱に弱い樹脂を使ったものは、電気毛布や布団乾燥機を使ってよいかが製品ごとに決まっているので、冬に暖房器具と組み合わせるつもりなら、表示を必ず見てください。
ラテックスは、弾むように柔らかい
ラテックスは、ゴムの木の樹液などを原料にしたゴムを発泡させた素材です。
沈むけれど跳ね返す力も強く、柔らかさと弾力が同時にある独特の寝心地になります。
重さがあるのと、ゴムのにおいが気になる人がいる点は、買う前に知っておきたいところです。
天然ゴムのアレルギーがある人は、素材表示を見てラテックスを避けてください。
硬さは、体の沈み方で考える
「硬め」「柔らかめ」という表示は、メーカーごとの言葉で、共通の基準ではありません。
自分に合う硬さを考えるときは、寝たときに体のどこが沈み、どこが当たるかに置きかえると分かりやすくなります。
| 感じること | 起きていること | 考える向き |
|---|---|---|
| 腰が沈んで反る | 柔らかすぎる | 硬めへ |
| 肩や腰骨が痛い | 硬すぎる | 柔らかめへ |
| 寝返りが重い | 沈みすぎている | 反発の強めへ |
| 底が床に当たる | 厚みが足りない | 厚めへ |
体重が重い人ほど、同じマットレスでも深く沈みます。
同じ硬さでも、体重50kgの人には硬く、80kgの人には柔らかく感じることがあるのはこのためです。
寝る姿勢も関わり、横向きで寝る人は肩と腰が適度に沈むほうが体がまっすぐになりやすく、仰向けで寝る人は腰が沈みすぎないほうが楽に感じやすくなります。
厚みの目安は、敷く場所と使い方で決まる
厚みは「厚いほど上等」ではなく、どこに敷いて、何と組み合わせるかで選ぶものです。
| 厚み(目安) | 主な使い方 | 置き場所 |
|---|---|---|
| 3〜5cm | 今の寝具に重ねる | 敷布団・マットレスの上 |
| 6〜10cm | 敷布団の代わり | 床・畳・ベッド |
| 11〜20cm | 1枚で寝る | ベッドフレーム |
| 20cm以上 | コイル系の本体 | ベッドフレーム |

3〜5cmほどの薄いものは「トッパー」と呼ばれ、今の寝具の寝心地を変えるために上に重ねて使います。
6〜10cmほどのものは、三つ折りにできる敷布団代わりのマットレスに多い厚みです。
床に直接敷くなら、体重が重い人ほど10cm前後を目安に、腰を下ろしたときにお尻の下で床を感じないかを見ておくと、底つきを避けやすくなります。
ベッドフレームに置く場合は、マットレスの厚みで寝る面の高さが変わります。
フレームの床板の高さ+マットレスの厚みが、腰かけたときに膝がおよそ直角になる高さだと、立ち座りが楽になります。
種類を2つまでに絞ってから、寝てみる
素材ごとの違いを、よくある希望に当てはめると、候補は次のように絞れます。
- 揺れが伝わりにくいほうがいい、2人で寝る:ポケットコイル
- 張りのある硬めの寝心地が好き:ボンネルコイルか高反発ウレタン
- 床や畳に敷いて、昼間はたたみたい:三つ折りのウレタンかファイバー
- 包まれる感じが好きで、寝返りは少ないほう:低反発ウレタン
- 今の敷布団の寝心地だけ変えたい:トッパー
朝の腰の痛みがきっかけなら、硬さを選ぶ前に寝方やへたりを確かめる順番があり、朝の腰の痛みの見直し方の記事でまとめています。
ベッドか布団かで迷っているならベッドと敷布団の比べ方の記事、体重や予算から1枚に決めたいならマットレスの選び方の記事が先に役立ちます。


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