冷え込んだ冬の寝室で低反発の枕に頭をのせると、最初の数分は思ったより硬く感じることがあります。
低反発ウレタンは温度で硬さが変わる素材で、体温で温まるにつれて、ゆっくり頭の形に沈んでいきます。
枕の素材には、こうした「寝てみて初めて分かる性格」がそれぞれあり、感触・高さの変えやすさ・音・季節の4つで比べると、自分に合わない素材を先に外せます。
素材を見る前に、決めておくこと
素材の違いは、高さと寝姿勢が決まっているほど選びやすくなります。
高さを変えたいか、音と蒸れが気になるか
先に決めておきたいのは、次の2つです。
- 高さを買ったあとで自分で変えたいか:変えたいなら、中身やシートで調整できる素材から選ぶ
- 頭の下で鳴る音や、頭の蒸れが気になるか:気になるなら、粒の素材と、密着する素材のどちらを外すかが決まる
寝姿勢ごとの高さの目安は、「枕の選び方は高さ・素材・硬さの3つで決める、寝姿勢と体型からの早見表」の記事で早見表にしています。
今の枕で困っていることを書き出す
今使っている枕に不満があるなら、それも外す素材を決める手がかりになります。
- 夜中に枕が低くなる、朝には頭の形にへこんでいる → パイプ・そば殻・高反発のように沈みにくい素材へ
- 頭の後ろが当たって痛い、硬すぎる → 低反発・羽根のように包む素材へ
- 頭が蒸れて夜中に枕を裏返す → パイプ・そば殻・ファイバーのように空気が通る素材へ
- 枕の中で音がして気になる → ウレタン・羽根・ラテックスのように粒のない素材へ
- 高さがどうしても合わない → 素材より先に、中身やシートで高さを変えられる作りかどうかで選ぶ
不満が2つあるときは、寝ている間ずっと続く不満のほう(高さが変わる、蒸れる)を先に外せる素材を選びます。
もう1つの不満は、枕カバーの素材や、下に敷くタオルで補える場合が多いからです。
ここからは、6つの素材を頭の支え方で3組に分けて見ていきます。
頭を包む素材:低反発ウレタンと羽根
頭をのせると形に合わせて沈み、後頭部から首までを包む感触になる組です。
仰向けで寝る時間が長く、頭の一点に圧がかかるのが苦手な人に合いやすい素材です。
低反発ウレタン
押すとゆっくり沈み、手を離すとゆっくり戻る、粘りのある感触です。
頭の形にぴったり沈むため、仰向けで首のすき間を埋める形の枕に多く使われています。

一方で、寒い部屋では硬くなり、夏は頭に密着する分だけ熱がこもりやすい素材でもあります。
寝返りのときに沈みから頭を動かす力が少し要るので、寝返りが多い人は、低反発の中でも反発の強めのものを選ぶと動きやすくなります。
高さは一体成形のものが多く、買ったあとで高さを変えにくいのも覚えておきたい点です。
羽根(フェザー・ダウン)
水鳥の羽根を詰めた枕で、ホテルの枕のような、ふんわりと沈む感触です。
羽根の軸があるフェザーが多いほど弾力があり、ダウンが多いほど柔らかくなります。
頭をのせると深く沈むため、見た目よりも実際の高さは低くなり、うつぶせ寝や、低めの枕が好きな人に向きます。
朝になると形が崩れていることが多く、寝る前に軽くたたいてふくらみを戻す手間があります。
横向きで高さが必要な人には、沈みすぎて高さが足りなくなることがあります。
高さを自分で変えられる素材:パイプとそば殻
小さな粒を袋に詰めた組で、中身を出し入れして高さを変えられる作りの枕が多いのが特徴です。
自分に合う高さをまだ探している人や、家族で同じ種類の枕を使い分けたい人に向いています。

パイプ
ポリエチレンなどの小さな筒状の粒を詰めた枕です。
頭をのせても形がつぶれにくく、高さが一晩中ほとんど変わらないのが持ち味です。
粒の間を空気が通りやすいので頭が蒸れにくく、洗える製品もあります。
ただし、頭を動かすたびにシャカシャカという音がするため、音に敏感な人は、粒が柔らかいタイプ(ソフトパイプ)を選ぶと音がやわらぎます。
そば殻
そばの実の殻を詰めた、昔からある枕です。
硬めでしっかりした感触で、頭の形に合わせて中身が動き、頭をのせた形のまま高さが保たれます。
吸湿性と通気性がよく、頭が蒸れやすい人に合いやすい素材です。
使ううちに殻が割れて細かくなり、少しずつ高さが下がって硬くなっていくので、殻を足すか中身を入れ替える手間があります。
そばアレルギーのある人は、そば殻の枕を使わないでください。
家族にそばアレルギーの人がいる場合も、殻の粉が舞うことがあるため避けたほうが安心です。
ラテックスの枕も、天然ゴムが原料のため、ゴムでかゆみや発疹が出たことがある人は使わないでください。
押し返す素材:高反発とラテックス
頭をのせても沈み込みが少なく、押し返す力で頭と首を支える組です。
横向きで高さが必要な人や、寝返りが多い人に合いやすい素材です。
高反発(ウレタン・ファイバー)
高反発ウレタンは、押すとすぐに押し返す弾力のある素材で、頭が沈みすぎないため、寝返りで頭を動かしやすいのが特徴です。
樹脂の細い繊維を絡めたファイバーの枕も、高反発の仲間として売られています。
ファイバーは網目状で空気がよく通り、こちらも洗える製品があります。

頭が押し返される感触が苦手な人は、表面に柔らかい層を重ねた2層の作りのものを選ぶと当たりがやわらぎます。
ラテックス
天然ゴムなどを原料にした素材で、低反発と高反発の中間のような、弾力のある沈み方をします。
頭をのせると適度に沈み、離すとすぐに元に戻るため、高さが一晩中保たれやすくなります。
空気の穴が開いた作りのものが多いですが、ウレタンより重めで、温度による硬さの変化が少ない素材です。
直射日光に当てると傷みやすく、ゴムアレルギーの人には向きません。
6つの素材を並べて比べる
6つの素材を、感触と使い勝手で並べると次のようになります。
| 素材 | 頭の沈み | 高さ調整 | 音 |
|---|---|---|---|
| 低反発 | 深い・ゆっくり | しにくい | 静か |
| 羽根 | 深い | しにくい | 静か |
| パイプ | 浅い | しやすい | 鳴る |
| そば殻 | 浅い | しやすい | 鳴る |
| 高反発 | 浅い | 製品次第 | 静か |
| ラテックス | 中くらい | しにくい | 静か |
| 素材 | 季節の感じ方 | 気をつけたい人 |
|---|---|---|
| 低反発 | 冬は硬め、夏は蒸れやすい | 寝返りが多い人 |
| 羽根 | 通年使いやすい | 横向きで高さが要る人 |
| パイプ | 蒸れにくい | 音に敏感な人 |
| そば殻 | 蒸れにくい | そばアレルギーの人 |
| 高反発 | ファイバーは蒸れにくい | 押し返しが苦手な人 |
| ラテックス | 通年使いやすい | ゴムアレルギーの人 |
「高さ調整」が「製品次第」の高反発は、シートを重ねて高さを変える作りのものと、一体成形で変えられないものがあるので、商品ページで作りを見て選びます。
音が気になるかどうかと高さを変えたいかどうかの2つを当てはめるだけで、6つのうち候補は2〜3つに絞れます。
表だけでは決めにくい2つのこと
- 2つの素材を組み合わせた枕は、どう考えればいい?
-
表面が羽根や低反発で、芯がパイプや高反発、という2層の枕は、表面の感触と芯の支え方を分けて考えます。頭が触れる感触は表面の素材で、高さの保たれ方は芯の素材で決まります。
- 洗えるかどうかで選んでもいい?
-
パイプやファイバーは中身ごと洗える製品が多く、低反発ウレタンやそば殻は中身を水で洗えないものがほとんどなので、洗えることを重視するなら、商品ページの洗濯表示を見てから選んでください。
店で素材を試すときに見ること
素材の違いは、手で押しただけでは分かりにくく、頭をのせて数分たってからの変化に出ます。
1つの素材に3分かけると、6つ全部で20分近くかかります。
候補を2〜3つに絞ってから行けば、10分以内で済み、試し寝の寝台も長く占領しません。

試す順番
店で試せるなら、次の順に見ていくと、短い時間でも違いをつかめます。
- 仰向けで頭をのせ、30秒後と3分後で高さが変わるかを見る(低反発や羽根は、時間とともに沈む)
- そのまま頭を左右に動かし、音と、頭が動かしやすいかを見る
- 横向きになり、肩と枕の間にすき間ができないかを見る
- 起き上がって、枕の表面に頭の形が残っているかを見る(戻りが遅いほど、寝返りで動かす力が要る)
試した結果の読み方
試したときに気づいたことは、素材の性格と、高さの問題に分けて読みます。
| 試したときの様子 | 読み取れること |
|---|---|
| 3分後のほうが沈んでいた | 包む素材の性格。沈みきった後の高さで判断する |
| 頭を動かすと音がした | 粒の素材の性格。気になったら、その場で候補から外す |
| 横向きで肩の上にすき間 | 素材より高さの問題。高さを変えられる作りなら候補に残す |
| 表面に頭の形が長く残る | 戻りが遅い。寝返りが多いなら反発の強めのものへ |
横向きのすき間は、素材を替えても埋まらないことが多いので、ここで素材を外してしまわないようにします。
店は暖房が効いていることが多いため、店で柔らかく感じた低反発も、冬の家の寝室では硬めに感じやすくなります。
持ち帰った枕を、家の寝床で合わせ直す
店の寝台と家の寝床では、体の沈み方が違います。
目安として、柔らかいマットレスでは体が沈む分だけ枕が高く感じやすく、硬い敷布団や床に近い寝床では低く感じやすくなります。
そのため、店でちょうどよかった枕でも、家では高さを少し動かす前提で考えます。
素材ごとの高さの動かし方
高さの足し方・減らし方は、素材によって違います。
| 素材 | 高さの動かし方 |
|---|---|
| 低反発・ラテックス | 下に薄いタオルを1枚ずつ足す。減らすのは難しい |
| 羽根 | 寝る前にたたいてふくらませる。足りなければ下にタオル |
| パイプ・そば殻 | 中身を一握りずつ出し入れする |
| 高反発(シート式) | 付属のシートを1枚ずつ抜き差しする |
変えるのは1晩に1か所だけにすると、どの変更で朝の首の感じが変わったのかが分かります。
タオルと中身を同じ晩に両方動かすと、よくなっても悪くなっても理由が分からなくなります。

首が痛くなったときは
素材を替えると、同じ高さ表示でも頭の沈み方が変わり、実際の高さがずれていることがあります。
首が痛くなったときは、まず素材に合ったやり方で高さを合わせ直してみてください。
痛みが何日も続く、手や腕にしびれがある、頭痛を伴うときは、整形外科などの医療機関に相談してください。
高さが合っているかどうかは、家の寝床で数晩寝たあとの、朝の首と肩の感じに出ます。


コメント