いびきは、眠っている間に狭くなったのどの奥を息が通るとき、まわりの柔らかい部分がふるえて出る音です。
仰向けになると、舌の付け根が重みでのどの奥へ下がりやすく、この通り道はさらに狭くなります。
寝具が関わるのは、この通り道を狭めにくい姿勢を、寝ている間に保ちやすいかどうかという部分です。
睡眠外来や耳鼻咽喉科などで先に相談したいのは、寝ている間に息が止まる様子がある、日中に強い眠気がある、朝起きたときに頭痛がする、という場合で、寝具の見直しはその後でも間に合います。
本人は眠っているので、いびきの大きさや続き方は、家族の話か録音でしか分かりません。
Q. 寝具を替えれば、いびきは止まりますか
寝具を替えて、いびきが止まるとは言えません。
いびきには、鼻の通りの悪さ、のどやあごの形、体重の変化、寝る前のお酒、疲れなど、寝具の外の理由がいくつも重なっています。
枕やマットレスで変えられるのは、そのうち寝ている間の頭と首の角度、寝る向き、寝返りのしやすさだけです。
| 寝具 | 関わるところ | 見るところ |
|---|---|---|
| 枕 | 首の角度 | 高すぎないか |
| 寝る向き | 舌の位置 | 横向きが続くか |
| マットレス | 寝返り | 沈みすぎないか |
| 抱き枕 | 横向きの維持 | 寝床の幅 |
つまり寝具の見直しは、いびきが出やすい姿勢を避ける手伝いであって、原因そのものを取り除く方法ではありません。
寝具を2〜3通り変えても家族の話が変わらないなら、そこから先は寝具の外の理由を考える段階です。
Q. 毎晩いびきをかくのか、ある夜だけなのか、で何が違いますか
寝具を見直す前に、いびきが出る夜に共通点があるかを家族に聞いておくと、寝具が関わる余地があるかを見分けられます。
- お酒を飲んだ夜だけ大きい:お酒は、のどのまわりの筋肉をゆるめるため、いびきが出やすくなります
- 風邪や花粉の時期だけ:鼻が詰まって口で息をするようになると、口が開いたまま眠りやすくなります
- 疲れた日だけ:深く寝入って、仰向けのまま寝返りが少なくなるため、と言われることがあります
- 向きで変わる:仰向けのときに大きく、横を向くと静かになる
寝具が関わりやすいのは、最後の「向きで変わる」いびきです。
ほかの3つは、寝具を替えるより、その夜の過ごし方や鼻の状態を見直すほうが先です。
向きで変わるかどうかは、仰向けで寝入った夜と、横向きで寝入った夜を1晩ずつ録音して比べると、家族に聞かなくても見当がつきます。

毎晩、向きに関係なく大きないびきが続くなら、寝具で調整する前に、次の受診の目安に当てはまらないかを見ておいてください。
Q. 寝具より先に、受診を考えたほうがいいのはどんなときですか
いびきの中には、眠っている間に呼吸が止まったり浅くなったりする睡眠時無呼吸症候群などの病気が隠れているものがあります。
次のような様子があるときは、枕を替えて様子を見るより先に、医療機関で相談してください。
受診を考える目安
寝ている間に息が止まり、しばらくしてあえぐように呼吸が戻る、と家族に言われた
いびきが急に途切れては、また大きく始まる
日中に強い眠気があり、会議中や運転中にも眠くなる
朝起きたときに頭痛がする、または頭が重い
夜中に何度も目が覚める、息苦しくて目が覚める
相談先は、睡眠外来、耳鼻咽喉科、呼吸器内科などです。
どこに行けばよいか迷うときは、かかりつけ医に相談して紹介してもらう方法もあります。
受診の前に、スマホの録音アプリで一晩のいびきを録っておくと、医師に実際の音を聞いてもらえます。
家族が見ていた場合は、息が止まっていたおよその秒数と、それが一晩に何度くらいあったかを書き留めておくと、言葉だけより様子が伝わります。
枕についての4つの問い
- 高い枕と低い枕、いびきに関係するのはどちらですか
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どちらにも気をつけたい点があります。
高すぎる枕であごが胸に近づくと、のどの通り道が折れ曲がった形になります。
反対に、低すぎる枕で頭が後ろに反ると、口が開きやすくなる人がいます。
仰向けで寝たとき、額とあごがほぼ水平になり、顔がわずかに足元を向くくらいが、高さを探すときの出発点です。
- 「いびき用」とうたう枕は、普通の枕と何が違うのですか
-
多くは、横向きを保ちやすい形(両端が高い、腕を通すくぼみがある)か、首元を下から支えてあごが引けすぎない形になっています。
どれも寝る姿勢を整えるための形で、いびきを止めるとまでは言えないので、商品ページの表示の範囲を超えて期待しないほうが、買ってからの落胆が少なくて済みます。
- 枕を外して寝ればいいのでは、と考えています
-
仰向けで枕を外すと頭が後ろに反り、口が開きやすくなります。
横向きで枕を外すと、肩の幅の分だけ頭が下に落ち、首が曲がった形が続きます。
外すより、今の枕の高さをタオル1枚分ずつ動かして、家族にいびきの様子を聞くほうが確かめやすい方法です。
- 口を開けて寝ている、と言われます。枕で変わりますか
-
頭が後ろに反る低い枕では、あごが下がって口が開きやすくなるので、高さを1段上げてみる価値はあります。
ただ、口が開く理由が鼻の詰まりなら、枕の高さを変えても口で息をする状態は続きます。
口を閉じるためのテープなどの市販品もありますが、鼻が詰まっているとき、息苦しさがあるとき、寝ている間に息が止まる様子を家族に指摘されているときは使わないでください。
どんな人が使えないかは製品ごとに表示があり、その範囲で使うものです。
Q. 横向きのときは静かだと言われました。横向きを続けるには?
横向きでは、舌の付け根がのどの奥へ落ち込みにくく、通り道が仰向けより保たれやすくなります。
ただ、一晩ずっと同じ向きで寝続ける必要はありません。
寝返りは体の同じ場所に重みがかかり続けないための動きなので、仰向けに戻る時間を少し短くするくらいの考え方で十分です。
- 抱き枕を胸の前に抱える:上の腕と脚の置き場ができ、体が前後に倒れにくくなる
- 背中側にクッションや丸めた毛布を置く:寝返りで仰向けに戻ろうとしたとき、背中が当たって横向きにとどまりやすい
- 肩の幅に合う高さの枕にする:横向きで首が下に折れると、肩が痛んで、結局仰向けに戻ってしまう

抱き枕がなければ、長めのクッションや、細長くたたんだ掛け布団でも、胸の前に抱える物の代わりになります。
家にある物で数晩試して、家族の話が変わるかを聞いてから、抱き枕を買うかを決める順番でも間に合います。
横向きの時間を長くしたい人ほど、枕は仰向けのときより高さが要ります。
首の付け根から肩先までの幅を測り、肩が寝具に沈む分を差し引いた高さが、横向きの枕の目安です。
横向きと仰向けで高さの違う枕の形や、抱き枕の長さの選び方は、「寝姿勢別の枕選び、仰向け・横向き・うつぶせと、抱き枕・ボディピローの使いどころ」の記事で寝姿勢ごとに比べています。
マットレスと寝床についての3つの問い
- 柔らかいマットレスだと、いびきが大きくなりますか
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マットレスの硬さといびきの大きさを、直接結びつけることはできません。
ただ、腰やお尻が深く沈むマットレスでは、体を転がすのに力が要り、仰向けのまま寝返りが少なくなることがあります。
横向きに移りにくい寝床かどうかは、寝転がって両膝を立て、その膝を倒すだけで体が横を向けるかを試すと見当がつきます。
- 上半身を高くして寝るのはどうですか
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枕を2つ3つと重ねて頭だけを起こす形は、首が前に曲がってあごが胸に近づくので、のどの通り道にはかえって窮屈です。
上半身を起こすなら、背中から肩にかけてゆるやかな傾斜をつけるクッションや、背もたれの角度を変えられるベッドのように、首の角度を変えずに体ごと傾ける形になります。
傾けて寝られるかどうか、体に合うかは、商品の表示と自分の体の様子で決めてください。
- 床に薄い敷布団で寝ていて、横向きが続きません
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薄い敷布団では、横向きになったときの肩と腰の重みを床の硬さがそのまま受け止めるので、痛くなって仰向けに戻りやすくなります。
敷布団の上にトッパー(上に重ねる薄いマット)を足すと、肩が少し沈むぶん、横向きで過ごせる時間を延ばしやすくなります。
肩が沈むと、横向きに合う枕の高さも変わります。
寝床を変えたら、枕の高さも同じ晩に合わせ直してください。
Q. いびきをかく家族と、同じ部屋で眠るには?
いびきは、かいている本人より、隣で寝ている人の眠りを削っていることがあります。
寝室で取れる手は、音から耳を遠ざけるか、耳の側で音を小さくするかの2つです。
- 2台の寝床を並べているなら、枕を置く位置を、寝床の端と端に離す
- 頭と頭の間に、背の高い家具やついたてを置く
- いびきが気になる側が先に寝つけるよう、寝る時刻をずらす

耳の側で小さくするなら耳栓が候補ですが、家族の呼びかけや火災警報器の音も聞こえにくくなるため、目覚ましの音量を一度確かめてから使います。
耳栓の素材ごとの違いや、光と音の悩みでの選び分けは、「アイマスク・ホットアイマスク・耳栓の選び方、光と音と目の疲れから決める睡眠グッズ」の記事で取り上げています。
いびきの合間に息が止まっているのに気づいたら、それは寝室の工夫の話ではなく、受診をすすめるきっかけです。
寝室を分けるという選び方
どうしても音が気になるなら、寝室を分けることも選択肢に入ります。
片方の眠る時間が削られ続けるより、2人とも眠れる形を先に作る、という考え方です。
別々の部屋で眠ることにしても、いびきをかく人が受診を考える目安は変わりません。


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